第3号 相続手続事例レポート 印のない自筆証書遺言書
父親を亡くし、相続手続きの依頼をしていただいていたKさん。後日、父親が書いた自筆の遺言書が発見されたとの連絡があり、至急管轄の家庭裁判所に申立てをし、自筆証書遺言書の検認を済ませてもらうことにしました。
その後、検認済みの遺言書を拝見させてもらうと遺言書面には父親の押印はなく、遺言書封筒に封印のみ押されたものでした。
このような「印のない自筆証書遺言書(封じ目に印あり)」の場合については『遺言書本文の入れられた封筒の封じ目にされた押印をもって民法968条1項の押印の要件に欠けるところはないとした原審の判断は正当として是認することができる』と判示されています(平成6年(オ)第83号遺言無効確認請求事件)。
その判例趣旨に沿い、各取引金融機関及び法務局にその遺言書の有効性についての説明を行い、検証依頼をお願いしたところ、全先より「有効」との回答を得、無事「印のない自筆証書遺言書」による相続手続きを進める事ができました。
しかし、提出先によっては有効性に疑問を持ち、手続きに応じてくれないところもあるかもしれません。
Kさんも「せっかく遺言書を残してくれていたのに、もしかしたら形式違反で無効になったかもしれないと思うと、自筆証書遺言って怖いですね」とおっしゃっていました。
形式違反の心配のない公正証書遺言で遺言を残すメリットを、改めて感じたケースでした。
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